鍼灸博士に聞く、鍼灸師として成長するポイントは??(あみはりきゅう整骨院 境野 昌行)

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境野 昌行
2000年入社 鍼灸師 鍼灸学博士
人事部 部長
明治鍼灸大学(明治国際医療大学)
筑波大学大学院(修士)
明治国際医療大学大学院(博士)
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今日は境野先生が学生時代から現在までの色々な話をお聞かせいただければと思っています。
ちなみに現在はどんな仕事をされていますか??

鍼灸師として入社をして、最近までは東上エリアのエリア長をやっていたんだけど、今は人事部長をやっています。
会社として人事面をさらに強化していくことになったんだよね。

この業界に入ろうと思ったきっかけはなんだったんですか??
たまたまのきっかけなんだけど、小さい頃からサッカーをやっていて、高校時代の夏の合宿の時にお互いにマッサージをする機会があってそれがきっかけかなー。

マッサージをして?
そう。友達とお互いマッサージをして、ありがとうって言われたんだよね。
でもその「ありがとう」が行為に対して言われたように感じたんだよね。

ありがとうって言いますよね。行為に対してというと??
ありがとうには色々あると思うんだけど、そのありがとうはマッサージをしたことに対してのありがとうだって感じたんだよね。
「気持ちよかった」とか「良くなったよー」とかのありがとうではなかったように感じたんだよね。

そういうことですね。
それで身体のこととか、ツボのこととかもっと勉強したいなと思うようになったんだよね。

そうだったんですね。接骨院に通っててーとかのパターンとはちょっと違いますね。
そう。通ってたりしてたわけではなかったね。
その合宿の後に学校で色々調べて鍼灸師って仕事があることを知ったんだよね。
進学するなら大学にいきたいと思っていたから、当時は唯一の鍼灸の大学だった明治鍼灸大学(現在は明治国際医療大学)に進学をすることにしたんだ。

学生生活はどうでしたか?
学校はほんとに何もない山の上にあるんだけど、学生時代はほんとに楽しんだよ。

勉強をですか?
勉強は・・・学生生活を楽しんだって感じだね。無事4年で卒業したんだけどめちゃくちゃ勉強に没頭したって感じではなかったね。

学生時代から勉強が大好きで博士課程に進んだってわけではなかったんですね。
就職に関して、境野先生は新卒でアミに就職したんですよね?

そうそう。大学の友達の先輩がアミで働いていて、その人に会いに行って働くことになったんだよね。

就職活動は結構しっかりやったんですか??
大学4年生の2月に就職活動を始めたから、今の学生の人たちと比べるとしっかりとは言えないかもな・・・

じゃあアミに決めた理由はなんだったんですか??
東京に戻ることは決めていたので東京で探していたんだよね。
あとは、いっぱい患者さんを診ることが成長につながると考えていたので、はりきゅう整骨院がいいなと思っていたんだ。

しっかり考えて決めていたですね。
でもそれくらい。
知り合いがいたのは大きかったと思う。

入社したときはあみは4院ですよね?
当時のあみの印象は??

グループ院は現在ほど多くなかったのではないかな。東京では来患も多くて勢いあるように感じてたかな。

そうだったんですね。入社してからはどうでしたか??
入社してから錦糸町の院に配属になったんだけど、施術者2人と受付さん1人とかで今ほど来患が多い院ではなかったんだよね。

え?錦糸町の院がですか??想像がつかないですね。
でも配属されてからみるみる来患が伸びていって、1日に70人くらいの患者さんが来ていただける院になったんだよね。

ちょうど伸びていく時期にということは大変だったんじゃないですか??
どんどん患者さんが増えていくからとても楽しくって、でも70人を二人とかでやってたからめちゃくちゃ忙しくて、めちゃくちゃ大変だったよ。

それは大変そうですね。
でも患者さんを治療することが楽しかったんだよね。
ベットが5台くらいしかなかったんだけど、自分が初診を取った患者さんで全部埋めてやろうーとか色々考えて楽しみながら仕事してたよ。

楽しみながら仕事するのって重要ですよね。
そうだね。でも1年過ぎたくらいに転職しようかなとか色々考えるようになったんだよね。

え?!辞めようと思ったってことですか?
そう。1年過ぎた頃かな。今思うと慣れてきてある程度仕事もできるようになったから余裕が出来てきたんだろうね。

たしかに僕も社会人2年目あたりにありましたね。
少し仕事できるようになったタイミングでやめようかなと思ってました。

そうそう。
その先がまだまだあるのになんでもできるような気持ちになっちゃってたのかな。
そんな感じで考えていたら急に代表から中野の院長をやらないかって話をもらって。

タイミングばっちしですね。
接骨院の譲渡だったんだけど、20人くらいしか来てない院だったんだよね。

今の中野からは想像できないですね。
人通りもそれなりにあったし、何よりも治療の内容を見させてもらって、あみのやり方でやれば全然もっと患者さん増えるんじゃないかなと思ったんだよね。

他の院の治療みてそう感じたってことは、一年半でめちゃくちゃ成長したってことですね。
今考えればそうかもしれないね。忙しいなー大変だなーってしか当時は思っていなかったけど、振り返ってみるとその日々がすごい成長をさせてくれてたんだよね。

振り返ってみると・・・ってありますよね。
入社1年半で院長って大変じゃなかったですか?

院長で大変というか、当時はパソコンの使い方すら全くわかってなかったよね。資料の作り方とかそこら辺のスキルが全くなくて。

得意そうなイメージがありましたけど。
本当に0からいろんな人に教えてもらったよね。
患者さんに対しては、あみのやり方でやったらどんどん増えていったんだよね。

考え通りだったんですね。
やはり当時から鍼灸は多かったんですか?

それなりにはあったんだけど、今ほどではなかったよ。

そうなんですか??
そうそう。俺が入社してちょっとしてからもっと鍼灸を勧めていこうってなって。

よくここまで増えましたね。
そうだね。
今では全院で年間24万件の臨床数があるから、業界でもトップクラスじゃないかな。

すごいですよね。なんでこんなに増えたんですか??
鍼灸をやたことない人って「痛い」というイメージがあると思うからそれをいかに払拭するか?がポイントだね。

例えばどんな感じですか?
俺の場合は、最初は、浅く、痛くなく打つってことを心がけていたんだよね。もちろん効果も出すために工夫はしてるんだけど。

確かに。僕もあみで初めて施術を受けたとき全く痛くなかったです。
そうやってだんだんと患者さんを増えていった感じかなー。

僕もそこから確かに鍼灸に抵抗がなくなりましたね。
そう。そこからその患者さんに合わせて症状や状態を見ながら施術していくって感じだね。

その積み重ねが現在につながっているってことですね。
色々と順調そうに見えるのですが、苦労したこととかなかったんですか?

うーん。中野に行ってから大変だったことは、中途採用で入ってきたスタッフが自分よりも知識も技術も上だったことかな。
「いいのかな自分が院長で・・・」って思ったんだよね。

そうなんですね・・・
そこで色々考えたことで、チームマネジメントを学べたかなと思うよ。

チームマネジメントをというと?
自分が院長として〜っていうのは患者さんには関係なくて、患者さんをいかに良くしていくか?ということが一番大切なんだよね。
それぞれの強いところで患者さんを治療していくことが大切だと思うんだよね。
院長だからと言って一人が完璧じゃなくてもいいんだと気づけたってことだね。

チームのマネジメントを学べるのはグループ院の特徴ですね。
そうだね。そこから院長を何院か経験してエリア長になったんだよね。

なんでそこから大学院に行って博士号を取得しようと思ったんですか?
やはり接骨院なので運動器に関しての治療が多いんだけど、痛い痛くないは主観だと思うんだよね。
患者さんから「よくなったよーありがとう!」
って言ってもらえるようになったんだけど、目で見て効いてる効いてないっていう治療もしたいなーって考えたんだよね。

働いてる中で学ぶ欲が出てきたって事ですね?
働いている中で鍼灸ってなんでもできるよな〜って思うようになって、もっとできるよなと。
そこから目で見てわかる治療ってなんだろう?って考えたときに、皮膚かなと思って、その中でもアトピーとかは分かりやすいんじゃないかなと。

学生時代の話からは想像できないですね。働いている中で考えが変わることって多いですよね。
学生時代からは考えられないことだよね。
そこから色々考えて、
「学校に入って勉強したい」
って代表に相談したら
「やってみれば」
って。

あっさりOKだったんですね。
やりたいってことを否定しないからね代表は。
応援するよって言ってくれたんだよね。

あみはりきゅう整骨院の文化ですね。
そこから勉強して、筑波大学の大学院に入学をしたんだよね。
2年間、疫学を勉強して皮膚がんの統計の論文を書いて医科学の修士の学位をもらったんだよね。

アトピーではなかったんですね。
そうそう。アトピーの研究はその後に、鍼で臨床をやりたいと思って明治鍼灸大学の大学院で3年間研究をしたんだよね。
明治鍼灸にアトピーの研究をしている教授がいてその教授に師事して研究をしたんだ。

もう研究されてる教授がいらっしゃったんですね。
俺の研究は教授の研究と方法はちょっと違くて、誰でも簡単にできる治療で効果を出す方法がないかなって思って色々と研究したんだよね。

誰でも簡単にできるというと…?
難しくて複雑なやり方で〜という方法ではなく、鍼灸師であれば理論と考え方を伝えれば誰でもできるような方法でやりたかったんだよね。

それはすごいですね。なんでそんな風に考えたんですか??
自分だけがその方法で儲けるとかではなく、鍼灸師として社会に貢献したいっていう思いがあったんだよね。
ネット上にもフリーのイラストってよくあるじゃない??そんな感じで、著作権フリーな感じで。

ネットのフリー画像はこのHPでも利用させていただいていますね笑
業界の発展っていったら大袈裟かもしれないけど、元々鍼灸師が鍼灸の資格だけで成功するイメージがなかったんだよね。あみの場合はちょっと違うけど、鍼灸師が接骨院で院長になれなかったり、平均年収が低かったり…社会的地位を向上させたいって思いもあったかな。

そこはアミの理念にも通ずるものがありそうですね。大学院に行ってよかったことはなんですか??
研究の成果が出て論文を書けて博士号が取れたってことももちろんあるんだけど、あらためて学術的な要素の大切さを学べたってことかな。
当時は論文なんて読んだこともなかったからね。

働いたからこそわかることですね。
あとは人脈ができたことかな。不妊とか脳卒中とか科学的にアプローチをしている鍼灸のTopの人たちと出会えたよね。鍼ってミステリアスなイメージが強いと思うんだけど、最近では西洋医学的見地で作用の理屈とかも説明するものも増えているんだよね。

そうなんですね。鍼灸って東洋の神秘てイメージありました。
会社の中では鍼灸委員もやっているので、学んできたことをあみの中に落としていって、最新の情報を発信してはりきゅうに関してもっと高めていけたらいいと思うよね。

境野先生が考えるはりきゅうの技術が高いってどういうことですか?
施術の数と知識の量の掛け算だと考えているんだよね。
特に若いうちに、臨床数を多く経験することが重要かなと思っています。
後からでも知識は入れることはできるし、経験したからこそわかることも多いと思うので。

最後に境野先生個人としての今後についてお伺いしてもいいですか?
技術的にも知識的にもまだまだだなとほんとに思うんだよね。
教育の制度として美容鍼の認定制度をスタートするにあたって、
美容鍼のセミナーに参加したんだけどすごい刺激を受けて、自分の知識をアップデートして行かなくてはいけないなと思ったんだよね。
本当に奥が深いなと思っています。

学び続けることが必要ってことですね。最後に読んでくれている学生の方にメッセージをお願いします。
学生のうちに勉強してることは、就職してからも役に立つことも多いのでしっかりと勉強をしましょう。
就職してからもは多くの患者さんに触れて経験を積むことと、新たな知識を学び続けていくことが成長につながります。本当にこの仕事は一生学び続けることが必要になるので、一緒に頑張っていきましょう。

以上、境野先生本日はありがとうございました。