良性発作性頭位めまい症

良性発作性頭位めまい症とは?

頭を動かした時や一定の頭位をとった時に、視界が回る、もしくは揺れるといった強いめまいが生じ、それに伴う吐き気嘔吐が特徴の耳の病気です。

 

耳の構造と三半規管のしくみ

耳の構造は耳介(みみたぶ)から鼓膜までの外耳、鼓膜の奥の空洞の内耳、さらにその奥の内耳に分けられます。

内耳は、バランスのセンサーである前庭・三半規管と聞こえのセンサーである蝸牛(かぎゅう)で構成されています。

予防の基礎知識

良性発作性頭位めまい症は前庭から耳石(じせき)がはがれ落ち半規管に入り込むことで起こりますが、その原因として頭部打撲、ウイルス感染、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)運動不足長時間の側臥位(そくがい:横向きに寝ている状態)などが考えられます。また、メニエール病突発性難聴などの内耳障害の経過中に、良性発作性頭位めまい症が続発することもあります。 良性発作性頭位めまい症の予防策としては、下記のような方法が挙げられます。

  • 運動不足にならないよう心掛ける
  • 長時間の側臥位を避ける(テレビを横になって見ない、決まった向きで寝ない)
  • 骨粗鬆症の予防をする ・頭部打撲を避ける

 

良性発作性頭位めまい症の原因

三半規管とつながっている前庭には、炭酸カルシウムからなる結晶状の耳石(じせき)が付着していますが、これが脱落し半規管内へ迷入することで良性発作性頭位めまい症が起こると考えられています。 大きく分けて2種類の良性発作性頭位めまい症があり、耳石が管内で移動する半規管結石型と耳石がクプラ(リンパ液の流れを感知する神経)に付着するクプラ結石型です。

半規管結石型良性発作性頭位めまい症 半規管内に迷入した耳石が、頭位変換(頭の向きを変える)後に重力により管内を移動することで異常なリンパ液の流れが生じてしまい、めまい症状が出現します。耳石の動きが止まったらリンパの流れも止まりますので、頭位変換後、数十秒くらいでめまいが治まります。

クプラ結石型良性発作性頭位めまい症 クプラに耳石が付着することが原因のめまい症です。耳石が付着したクプラが横向きになるような頭位をとると、重力によりクプラが刺激され回転するようなめまいが発症します。持続時間は2分以上と長いですが、耳石が付着したクプラが縦向きとなるような頭位(仰向けの状態で症状のない側へ少し向く)にすると、めまいは治まります。

 

良性発作性頭位めまい症の治療法

耳石(じせき)が管内で移動する半規管結石型であれば、体操により半規管から結石を排出させることで早く治すことができます。耳鼻咽喉科では、眼振検査(眼球の動きを調べる検査)を行い、半規管結石型か耳石がクプラに付着するクプラ結石型かを判断し、それに合った体操を指導することができます(耳石が入り込んでいる管によって体操が異なります)

また、めまいを誘発する原因として首・肩の筋肉の緊張があり、筋肉をほぐしたり鍼灸治療をすることで改善が期待できます。

 

【めまいのツボ】

百会(ひゃくえ)両耳を結んだ線と眉間から頭のてっぺんを結んだ線が交差する所にあります。

和髎(わりょう)→もみあげの後方と耳たぶの付け根の間。軽く指で触れると、トクトクと脈をうつのが分かります。

翳風(えいふう)→耳たぶの後ろ。大きくくぼんでいる所です。強く押すと痛みが出やすい為、優しく触れると良いです。

肩井(けんせい)→首の後方の根元と肩先の中間。右手を使って左肩、左手を使って右肩を片方ずつ押します。

風池(ふうち)→首の後ろ髪の生え際で、2本の太い筋肉の外側からわずかに離れたくぼみのあたり。