AGA(男性型脱毛症)

AGA(男性型脱毛症)

 

AGAはAndrogenetic Alopeciaの略称で、日本語では「男性型脱毛症」と呼ばれています。AGAは成人男性に多くみられる脱毛症の一種で、現在では薄毛の症状に悩む男性のほとんどがAGAであるといわれています。

AGAは男性ホルモンに起因して発症する進行性の疾患です。主に額の生え際や頭頂部のつむじ周辺から抜け毛が起こり、時間をかけて少しずつ薄毛が進行していく特徴があります。また、AGAの発症には遺伝や生活習慣など様々な要因が関わっていると考えられています。

AGAのしくみと原因

髪の毛の成長には「ヘアサイクル(毛周期)」と呼ばれる一定の周期があります。通常のヘアサイクルは大きく3つの段階に分けられており、髪の毛が最も活発に育まれる「成長期」、髪の毛の伸長が止まり細胞の自然死(アポトーシス)によって毛包が退縮していく「退行期」、毛包の活動が停止する「休止期」で構成されています。さらに成長期は「早期」「中期」「後期」の3段階に分かれ、それぞれの過程で髪の毛の成長が行われています。また、ヘアサイクルは個々で一生涯に繰り返される回数が決まっており、ヘアサイクルが繰り返されることで日々の髪の毛の健康状態が保たれています。

 

AGAは悪玉男性ホルモンの「DHT(ジヒドロテストステロン)」が男性ホルモン受容体の「アンドロゲンレセプター」と結合することによって発症するもの。DHTは男性ホルモンの一種「テストステロン」が体内の還元酵素「5αリダクターゼ(5α還元酵素)」によって変化し生成されます。アンドロゲンレセプターと結合したDHTは、髭などの体毛に対しては成長因子を刺激して毛を太く成長させる作用を持ちますが、前頭部や頭頂部などの毛髪に対しては、毛母細胞の分裂を抑制しヘアサイクルにおける成長期を短縮させてしまう働きを持っているのです。通常のヘアサイクルは約10002000日かけて1周しますが、AGAの発症によってヘアサイクルが乱れるとヘアサイクルの成長期が最短で100日程度へと極端に短縮されてしまいます。これはDHTの生成に関わる5αリダクターゼにおいて、体毛では“毛の成長を促すシグナル”が関与するのに対し、頭部では“毛の成長期を阻害するシグナル”が関与するためであると考えられています。

 

治療法

AGA治療には様々な方法が存在しますが、内服薬と外用薬を用いる治療が最も一般的な治療法とされています。

・内服薬
AGAの進行を抑制する作用を持つ「フィナステリド」や「デュタステリド」の内服薬を使用します。

・外用薬
AGAの進行を抑制する治療薬に加えて、発毛効果を持つ「ミノキシジル」の外用薬を用いることが多くあります。

・鍼灸施術
頭皮、頸部の循環を促進させヘアサイクルの正常化を図ります。

これらの内服薬と外用薬はずっと服用しなければ効果が続きません。また副作用もあるので鍼灸施術も効果的です。
ただし、薄毛施術は適応外もあるので注意が必要です。

 

予防

①食生活の見直し

髪はたんぱく質からできています。余裕があるほどのたんぱく質を手に入れるためにも、たんぱく質が多く含まれている、たんぱく質を作る働きをする「亜鉛」を摂取してください。

さらに、血液の流れを良くするために「ビタミン」が多く含まれているものを選ぶようにしましょう。また、食べ物だけではなく、食事をする時間にも注目してみてください。髪の毛の成長促進効果が期待できる午後22時~午前2時の間は食事を摂るのは避けることが大切です。

➁質のいい睡眠を心がける

午後22時~午前2時までは成長ホルモンを分泌させるゴールデンタイムとも言われています。このゴールデンタイムの間に睡眠を取ることで、髪への成長を促すことができるのです。

仕事や家庭の事情でこの時間に睡眠を取ることができないという方もいるのではないでしょうか。ゴールデンタイムに睡眠を取れない場合、睡眠時間を6時間以上は取るようにすることが大切です。また、深い睡眠時に成長ホルモンが多く分泌されると言われているため、ぐっすり眠りましょう。

③シャンプーのやり方を見直す

頭皮をマッサージしながら洗いましょう。頭皮マッサージを併用することで、AGA予防の効果もアップします。すすぎは、頭皮を洗っている時よりもしっかりと時間をかけて行うことがポイントです。

④喫煙や過度な飲酒を避ける

喫煙や過度の飲酒は、頭皮にも影響を及ぼします。頭皮の血行を悪くし、髪に十分な栄養が行き渡らなくなってしまうのです。