肩こり

1、肩凝り(肩こり)の歴史とは・・・

「肩こり」という言葉はいつから使われているか?

「頚と肩の継ぎ目の少し背中へよった局部が石のように凝っていた。」と記載されている1910年の作品『門』の著者 夏目漱石が作った言葉であるといわれている。

 

しかし実際には1896年に樋口一葉の『われから』には「ある時は婦女どもにこる肩をたたかせて、心うかれるような恋のはなしなどさせて聞くに人の頤はずるる可笑しさとて…」と記載されている。

 

また同年に肩こりに関する最も古い医学的文献に、瀬川昌耆の『痃癖―特殊肩痛 Scapulalgia specifica』があり、そのなかで「痃癖の癖ある婦人が医師に対し、裁縫業に従事すれば、肩たちまち凝る、張る、痛むと訴える。」という記載がある。

表1.肩こり、五十肩の名称の推移

肩こり 五十肩
江戸時代 肩がこる/はる

(3)痃癖、肩癖

(5)五十腕/五十肩

 

明治時代 肩はり、(3)痃癖、肩癖

(4)(けんぴき/けんびき)

(5)五十腕/五十肩
大正時代、昭和時代

 

肩こり、(3)痃癖、肩癖 五十肩
現在

 

肩こり 五十肩

2、肩こりを辞書で調べてみると・・・

「肩の辺りがこわばって、重苦しく感じられる症状。」大辞泉 小学館

「肩の筋肉がこわばり、重苦しい不快感を伴う症状。」明鏡国語辞典 大修館書店

「首すじ、首のつけ根から肩甲骨部の筋肉が重だるくはった感じとなりときに鈍痛を伴う状態で主観的にはきわめて不快な感覚で、ときによると頭痛やはきけを合併する。…」

医学大辞典 第19版 南山堂

「Stiff neck」プログレッシブ和英中辞典 第3版

Stiffとは伸びにくいという意味。

 

3、発症要因の仮説とは・・・

 

  • 筋原性

筋の器質的および機能的変化。筋緊張。

  • 骨関節性

頚椎の椎間板における退行性変化。

  • 神経原性

交感神経などの自律神経系や体性感覚神経系の関与によって引き起こされる。筋血流量低下。

 

 

4、本態性(原因が明らかでない)肩こりと症候性肩こりと分類とは・・・

 

  • 本態性肩こり

過労 、運動不足、寒冷、寝不足、不良姿勢、加齢 、なで肩。

 

  • 症候性肩こり

頚椎、胸椎、肩関節、胸郭などの整形外科疾患。特に頚椎疾患に由来するものが多いと考えられている。

心肺疾患、甲状腺、歯、顎関節、咽頭部などの頭頚移行部にわたる内科、耳鼻科眼科、歯科口腔疾患など。

 

  • 心因性肩こり

精神的疾患、うつ病。

 

 

5、肩こりって結局・・・

  肩こりとは 病名ではなく、患者さんの愁訴、 訴えである。